装身具を置いた王子
アーナンダは釈迦族に生まれ、釈尊の親族であった。註釈書は、親族たちがこの子を見て皆喜んだので、アーナンダ——喜び、悦びに関わる語——と名づけたと伝える。
釈尊がカピラヴァットゥに戻って法を説かれると、幾人もの釈迦族の王子が出家を決意した。アーナンダはバッディヤ、アヌルッダ、バグ、キンビラ、デーヴァダッタとともに旅立ち、彼らに仕える理髪師ウパーリも従った。
国境を越えたところで王子たちは装身具を外し、包んでウパーリに持ち帰らせようとした。ところが道すがらウパーリは考えた。もし自分ひとりで戻れば、人々は自分が王子たちを害して財を奪ったと思うかもしれない。それに、安楽に暮らす王子たちでさえ王宮を捨てられるのに、なぜ自分は今までの暮らしを捨てられないのか、と。
そこでウパーリは装身具の包みを木に掛け、六人とともに出家を願い出るために引き返した。
追いついたウパーリを、六人の王子はかつての従者として連れ、そろって釈尊のもとへ向かった。